歯科麻酔の特色を一言でいえば、日帰りで治療ができ寝ている間に治療が終わるので全ての患者さんに『全く痛くなく、怖くもなく、何ら不安も感じず、そして快適で、安全に歯科治療を受けて頂くこと』と『顔や口の中の原因不明の痛みやシビレを取り除き、辛くて不自由な生活から解放すること』、にあり、この点でいわゆる医科の麻酔とはかなり趣を異にしています。
- 歯科治療時、『痛い、つらい、怖い、不快、気分が悪くなる』が苦手な方
- 『歯科治療は痛い、怖いから、何となく不安などで歯科へ行きたくない』と今思っている方
- 『心臓が悪い、血圧が高い、心身に障害を持つ、高齢で寝たきり』など身体のことが気がかりな方
- 『心身の障害、聞き分けがないため、暴れて歯科治療をしてもらえない』などでお困りな方
また、長時間にわたって頭部の不動を強いられ、大きく口を開け続けるなどのさまざまな苦痛をなくし、治療中を快適にする精神鎮静法(リラクゼーション法)なども必要不可欠です。言いかえれば、高度で先進的な歯科治療や手術をするための麻酔には、通常とは異なる、『特別な局所麻酔法、精神鎮静法といった高度で、先進的な歯科麻酔の専門技術と知識 』が必要です。このような高度先進的歯科医療に限らず、抜歯やむし歯の治療など、ごく普通の歯科治療ですらひどく痛く、極めて不愉快なものと、今でも多くの患者さんは思っています。中には、緊張のため、歯科治療中、血圧が異常に上昇したり、脈が不整になったり、呼吸が苦しくなったり、気分が悪くなったり、時にはショック様の状態になったりすることがあります。さらに、歯科治療に対し強い恐怖感を持つようになり、歯科医院に全く足を運べなくなった方もおられます。また、高齢で寝たきり、心身に重い障害がある等の理由で通常の歯科治療が困難な方、血圧が高い、心臓が悪い、糖尿病など全身的な病気を持っている場合、その持病が悪化する、他の大きなトラブルを誘発するなどの可能性も高く、安全な歯科治療に懸念が生じます。
近年、歯科医療は急速に進歩し、歯科インプラント、歯の移植、粘膜移植による歯周治療、顕微鏡を用いた口腔外科手術など、さまざまな高度先進的歯科治療や手術が日常的に行われるようになりました。しかし、これらの治療や手術には複雑かつ緻密な技術を用いて、少なくとも通常、数時間以上を要します。使用する局所麻酔には、極めて固いアゴの骨の広い範囲を確実に無痛にし、さらにこの無痛が長時間にわたり確実に持続するように、特別な配慮(伝達麻酔法など)が必要です。
- 『口の中や顔がビリビリしびれている、唇やまぶたが曲がっていて動かない』などのことで、不自由なことはありませんか?
- 口の中や顔に、『原因不明と言われた痛み、頑固でいつまでも治らない痛み、感電したような痛みが時折走る』などでつらい思いをしていませんか?
顔や口にも激しい痛みの病気(三叉神経痛)、熱い、冷たい、痛いなどの感覚がマヒする病気(神経マヒ)、まぶたや唇など顔が動かなくなる病気(顔面神経マヒ)、などの神経に関連したさまざまな病気があります。これらの病気に対しても歯科麻酔の専門の知識と技術を生かして治療を行っています。
当院ではすべて指導医、専門医、認定医の先生方が麻酔を担当いたします。
超短時間作用型麻酔薬の登場により、日帰りでも全身麻酔ができるようになりました。そのため、多くの手術が入院なしで可能になったのです。
手術でさえ日帰りで可能なのですから、もちろん、むし歯の治療や抜歯などの歯科治療も可能です。
精神的に苦痛の大きい歯科治療こそ、全身麻酔でリラックスして眠っているうちに終わりたいものです。
そこで、当院では超短時間作用型麻酔薬を使い慣れたプロフェッショナル、大学病院の現役麻酔医、歯科麻酔医による高レベルで安全な麻酔のもと、無痛歯科治療を行える体制を整えました。
しかしながら、当院では患者様の安全のために、ある程度の制限が必要だと考えます。
具体的には次の3つの条件を満たすものを日帰り全身麻酔が可能として扱うことにしています。
これらの条件は歯科治療にも、全身麻酔にも精通する歯科麻酔科医による診察のうえ、判定いたします。
- 健康状態が良好であること。
既往歴など問診し、必要な検査をピックアップし(血液検査、レントゲン、心電図など)、健康状態のチェックを行います。 - 治療や予後の困難が予測されないこと
標準的歯科治療(虫歯の治療や抜歯、親知らずの抜歯など)であること。
大量出血などの合併症がまれであること。
(上顎洞炎や術後出血が予想される大きな腫瘍摘出などは当院では行わない) - 患者様とご家族
全身麻酔と歯科治療の説明が歯科麻酔科医からなされ、患者様が同意していて協力的であること。
責任能力のある成人(家族の人が望ましい)が付き添いとして当日一緒に来院できること。